2010年10月04日

所得税:『平成22年度税制改正大綱』の先に見えてくるものとは?

平成21年12月22日に、政府は「平成22年度税制改正大綱」を取りまとめました。今後の国会審議等で変更となる可能性はありますが、来年度の税制の大きなガイドです。

以下のURLからPDFでダウンロードできますので、詳細はご一読ください。

【平成22年度税制改正大綱】
http://www.kantei.go.jp/jp/kakugikettei/2009/1222zeiseitaikou.pdf


国民の多くにとって、今回の「子ども手当て」や、「年少扶養控除の廃止、特定扶養控除上乗せ分の廃止」、「配偶者控除の来年度以降見直しの方向」など、所得税課税の動向が気になるところではないでしょうか。そこで、今後の方向性について、今回の税制改正大綱から見えてくる部分を解説いたしました。


■個人所得課税、改革の方向性とは?

上記平成22年度税制改正大綱のPDFの13ページから個人所得課税の項目が記載されています。その中で、注目すべき項目が、「所得控除から税額控除・給付付き税額控除・手当へ転換を進めます。」という文章です。
今までの所得税では「所得控除」が基本でした。「配偶者控除」、「扶養控除」、「医療費控除」等、すべて「所得控除」です。ということは、課税所得に税率を乗じる前に「所得控除」するため、当然税率の高い人、つまり収入の高い人ほどその効果は高くなります。


たとえば、扶養控除一人38万円が増えた場合、最高税率の人であれば約19万円の減税効果になります。しかしながら、極端ですが控除が所得を上回っていて税金がかからない人であれば、さらに控除が増えたとしても何も変わらない、つまり効果はゼロです。


このように、所得控除が相対的に高所得者に有利なことを是正するために、「所得控除から税額控除・給付付き税額控除・手当へ転換を進めます。」と改革するわけです。


■給与付、税額控除とは?

税額控除や手当ては今までも聞いたことがありますが、「給付金付き税額控除」というのは聞き慣れない言葉です。どんなことなのでしょう?
今までの所得控除では、低所得者は最低でも税金がゼロになるまででした。給付金付き税額控除になると、税金がかからないだけでなく、さらに給付金がもらえるという構造をつくることができます。アメリカ、イギリス、カナダ、オランダなどでも取り入れている方法です。

たとえば、仮に子ども一人当たり10万円の税額控除があったとしましょう。税金を100万円払っている人は、税額控除ですから 「100万円−10万円=90万円」となり、10万円税金が少なくなります。
では、税金を2万円払っている人はどうでしょう。単なる税額控除では税金がかからなくなるだけですが、給付金付き税額控除なら、「2万円−10万円=△8万円」として、税金がゼロで更に8万円の給付をするということになります。所得の少ない層に対して有利に働く税制です。



但し、「給付付き税額控除」の導入をする場合には、2つの前提があります。現金給付をする前段階として社会保険料などの納付分を相殺するための「社会保険と税の共通番号=納税者番号制度」の導入と、それを「管理する主体=歳入庁(国税庁と日本年金機構の統合)の設立」であり、税制改正大綱にも、その方針が明記されています。


■その他所得税改正

今回は見送られましたが、税制改正大綱の中に 「・・・、所得再分配機能の回復等の観点からの、給与所得控除の見直しや、税率構造などの所得税改革にも取り組むこととします。給与所得控除には上限がありませんが、給与所得者の必要経費が収入の増加に応じて必ずしも増加するとは考えにくく、高所得者により有利な制度となっています・・・」 との記述があります(PDFの15P)
つまり、どんなに給与が高くても「5%」は課税所得から控除している現在の「給与所得控除」について、「上限規制をする」ということです。

このように、所得税にかかわる新しい考え方は、「高い所得層」への課税強化により、「所得の再配分」を重視している考え方と言えるのではないでしょうか。実際、今回の税制改正大綱の中でも「所得の再配分」という言葉が、随所に使われています。


※ 以上の記述は、平成21年12月22日発表の「平成22年度税制改正大綱」を基に作成していますので、今後の国会審議等により内容が変更になる場合があります。また、特に所得税課税の方向性について取り上げたものですので、その他の税制改正についても、税制改正大綱を参照ください。
ラベル:所得税
posted by 賢く生きるための案内人 at 11:00| Comment(0) | 所得税 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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